タベアルキスト・マッキー牧元の高知満腹日記「皿鉢に、高知の誇りが詰まっていた」

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなすタベアルキストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。

「おおぅ! なんじゃ、こりゃあ」。

同席した全員が、叫んだ。

豪快なことで知られる皿鉢(さわち)料理だが、ここまでゴーセイなお姿は見たことない。

中居さんにも聞いてみたが、「私も見たことがない」というくらいゴーセイなのであった。

高知料理の名店「司」である。

皿の上には、「高知ならではの山海の幸を食べや」と、「司」の矜持と心意気が渦巻いていた。

神事の一つとして神様に捧げた供え物をおろし、いただいた、直会と呼ばれる、神と人との共食儀式から始まったとされる盛り込み料理である。

各地に同じ風習はあるが、ここまで多くの料理を並べて盛り込むのは、高知だけだろう。

山海の恵みが豊かである土佐が産んだ料理だが、同時に“いごっそう”と呼ばれる土佐男児気質の、「快男児」「酒豪」「頑固で気骨のある男」が好む料理でもある。

また皿鉢を大勢で囲み、食べたいものを自分の小皿に取るといった、堅苦しいルールに縛られることを嫌い、 なによりも自由を尊重する 土佐人ならではの料理ともいえよう。

行事食として欠かせぬものだが、一説によれば家庭での宴会や法事のもてなしの際、一つの大皿で料理を提供することで、台所を預かる女性たちの片付けなどの手間が省け、一緒になって酒を酌み交わすことができるからという理由もあって、今でも残っているらしい。

地の恵みに敬意をはらった、丁寧な料理。

さて「司」の壮大な皿鉢料理だが、なんとそこに盛り込まれた料理の数は31種類である。

“生”と呼ぶ刺身類、“すし“、”組み物“と呼ぶ各種料理の基本三種が盛り込まれている。

“生”は、乗り切らなかったのだろう、「鰹のタタキ」が別皿で出て、この皿鉢には、1タコ 2チャンバラ貝(マガキ貝)3ながれこ(トコブシ)

お次に“すし“は

4鯖寿司 5薄焼き卵巻き寿司 6野菜をネタにした、茗荷とリュウキュウによる高知特有の田舎寿司である。

そして煮物、揚げ物、焼き物、仕直もの(練りもの)、酢味噌あえ、酢の物、野菜料理、羊羹、季節の果物などからなる”組み物“は

7リュウキュウ(ハスイモ) 8里芋 9かぼちゃ煮物 10インゲン 11川エビ唐揚げ 12青のりの天ぷら 13パプリカ 14フルーツトマト 15とうもろこし 16鴨ロース 17ウツボ唐揚げ 18ししとう 19メヒカリ 20鯖塩焼 21天然鮎の塩焼き 23飯いかすみそがけ 24かまぼこ 25車海老 26ゆず皮ピール 27すまき 28伊勢海老 29ナス 30小夏 31羊羹。

ふうっ。前菜から主菜、デザートまで、たっぷりとある。いったいこれでどれくらい飲めるんだろうかと、酒飲みならうれしくなる種類の豊富さである。

飯いかは柔らかく、ウツボは皮下のコラーゲンがうまい。仁淀川の天然鮎は内臓の味が澄んでいて、鯖寿司は、身が厚く、締め具合がなんともいい。

リュウキュウはゆず風味で爽やかな味わいであり、青海苔の天ぷらは、実に香り高く、ながれこはしっとりと味がしみている。川エビは香ばしく、カラごと噛み締めると柔らかい甘味がにじみ出て、ナスは、とろけるように甘い。

といった具合に、一つ一つが丁寧に敬意を払って、丁寧に料理されている。

まいった。今晩は夜を徹して、飲まんといかん。

今回紹介したお店

土佐料理 司 高知本店

住所:高知県高知市はりまや町1-2-15

電話:088-873-4351

営業時間:平日 午前11時30分~午後10時/日曜祝日 午前11時~午後9時30分

休日:年末年始

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