タベアルキスト・マッキー牧元の高知満腹日記「清廉な環境に育まれた、牛肉の誠実。」

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなすタベアルキストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。

「もうこれ以上先に人家はありません。道も行き止まりです」。

そんな場所で飼育されているからだろう。

横山牧場の牛たちは、みな穏やかな顔をしていた。

牛舎の責任者である横山大河(たいが)(26歳)さんもまた、柔和な笑顔をいつも浮かべて、穏やかな話し方をされる。

山から湧き出る清流を飲み、澄んだ空気に包まれ、車の騒音や人の声から遠く離れて暮らせば、人間だって伸びやかになる。

牛たちは、清々しい環境の中でのんびりと育てられる。

牛にも人にもストレスがない。

人家からすぐ近くに、深い里山が多くある、高知特有の環境だからこそこういう牧場ができるのだろう。

 

焼肉よこやまで、焼肉を食らう。

そして村落に降りれば、「焼肉よこやま」がある。

横山大河さんの弟である横山元紀(げんき)(22歳)さんが切り守る。

この焼肉店は、横山牧場で育てられた四万十牛(黒毛和牛)がいただける店である。

自分たちが大切に育ててきた牛を、その牛の素晴らしさを、お客さんに味わってもらおうと思って作った店だという。

だからどの肉にも思いがある。

ガラスケースに収まった各部位の陳列の仕方も、メニューの構成も、カットの仕方も、焼き方も無駄がない。

1グラム、1滴も逃さず食べてもらおうという、愛がにじみ出ている。

フィレは、赤身のすっきりとした味わいがあり、肩ロースは、たくましさと穏やかさが内在した醍醐味があり、ハラミは、脂の野太さにコーフンさせられ、サーロインは、きれいで甘い脂の魅力にうっとりとする。

ホルモン(大腸)は、身厚で輝く質の高い脂がたまらなく、レバーはほんのりと甘い。

そして豪勢にタンモトを分厚く塊で出す「幻のタン」は、脂のキレよく、柔らかな滋味が幸せを呼び込む。

その肉の部位も、優しく品のある味わいである。

それは清廉な空気や水と戯れあった、牛だけが生み出す慈愛なのかもしれない。

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