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中華にナポリタンに日清ソース焼きそばまで80数種類の料理がいただける居酒屋「十刻」 美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

この情報は2021年12月5日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす食べ歩きストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は、80数種類の料理を提供する居酒屋「十刻(ととき)」を訪ねました。

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飲食店の原点がここにあった。

高知市内にある「十刻(ととき)」である。

メニューを開けば、天ぷらといった和食メニューに始まり、中華料理の麻婆豆腐から韓国料理、ナポリタンまで80数種類の料理が、ずらりと並んでいる。

「こんなたくさんの料理を置かれて、大変でしょう」と、ご主人に尋ねると、

「ロスが多くて、いつも税理士と喧嘩しています。でも言うんです。みな食いたいもんを食いたいんだと」。

まず頼んだ「モンズマの刺身(希少なスマガツオ)」は、しなやかな体に脂が回って、品のある中とろのように美味しい。

「チャーテ(ハヤトウリ)と豚肉のピリ辛みそ炒め」は、辛みが効いた味付けの中でウリと豚肉の食感の対比があって、楽しい。

そして飲みもののオススメは酢みかんを使ったサワーである。

ぶしゅかん、直七、小夏、すだち、かぼすと酢みかん(果実は食べないで絞って使う柑橘類)王国高知を代表する柑橘を使ったサワーが並んでいる。

ぶしゅかんは、ほのかな苦味がよく、直七は優しい甘みがあり、小夏は香りがいい。

すだちは、穏やかな甘みと酸味、ほのかな苦味のバランスが良く、かぼすは最も香り高く、酸っぱい。

それぞれに個性があって面白い。

さあそれでは締めは何にしよう。

メニューを開けば、おにぎりなどに混ざって。インスタント食品があるではないか。

サッポロ一番、チャルメラ、出前一丁、日清ソース焼きそば、永谷園のお茶漬けときた。

「昔は出汁を引いて、お茶漬け作っていたんです。でも社長さんやお金持ちの方がきて言うがです。そんなもんどこでも食べれるわ、永谷園が一番おいしい、とね」

「別の社長さんは、日清焼きそば作ってくれいうから、スーパーへ走って買いに行き、豚肉やキャベツを入れて作ったんです。そしたら怒られた。日清焼きそばは、なんも入れんほうがうまいって」

「お金持ちほどジャンクが好きやね。タコさん赤ウィンナーもそんなことで、だいぶ前からやりゆう。でもわがままなお客さん多いで。タコの足は六本じゃなく、八本にしてくれとか、足だけカリカリに焼いてくれとか。基本この仕事は、Mじゃなきゃできません」

そんなわがままな客が多くて、要望を聞いていたら、メニューがどんどん増えていったという。

そこで我々も袋麺の日清ソース焼きそばを頼んだ。

熱々の鉄板に乗せられ、湯気を上げながら登場した日清ソース焼きそばは、鉄板で焦げたとこが、うまかったなあ。

「十刻」という店名の由来は、15年前に店を始めようと店名を考えていた時に、酒を飲んで楽しいことが10個あることに気づき、そんな時間を楽しんでもらえたらなあと思ってつけたという。

最後に、60代だという「十刻」のご主人は、ハスキーな声で言い切った。

「所詮、飯屋なんで、おいしく楽しかったらいい。なんで、カッコつけなきゃいかんがですかね」。

ビジネスとしては効率を求めたほうがいい。

しかし、ここにはそんな理論など吹き飛ぶ力がある。

ここに来て、様々な客がめいめいに楽しんでいる姿を見ると、飲食店とは、なんと素敵な場所なんだろうと思うのだった。

高知県高知市廿代町「十刻(ととき)」にて

 

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