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全国100軒以上のとんかつを食べ歩いた人気パティシエが高知で始めたとんかつ屋「紅豚ぽるころっそ」 美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

この情報は2022年1月16日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹にとんかつ、フレンチにエスニック、そしてスイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす「美食おじさん」ことフードジャーナリストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する高知家の〇〇の人気連載記事「高知満腹日記」。今回は、とんかつ愛あふれるパティシエが営む高知市のとんかつ屋「紅豚ぽるころっそ」を訪ねてきました。

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高知はとんかつ不毛の地である。

ちなみに食べログで調べてみると、県内にはチェーン店も含めてわずか13軒しかない。

これを人口比で東京と比べてみると、高知は5万8千人に一軒、東京は約1万人に一軒となる。

みそカツラーメンやカツ丼の人気店はあるのだが、どうやらとんかつを単体として食べる食文化に馴染みがないようである。

今までこのコラムでも取り上げていないし、アンテナを張り巡らしても美味しいとんかつ屋の情報は入ってこなかった。

この厳しい状況に、あえて立ち上がる男がいた。

以前このコラムでもご紹介した人気パティスリー、「マンジェササ」のオーナー笹垣朋幸さんである。

【記事】高知県民熱愛フルーツ土佐文旦スイーツをいただく「マンジェササ」

おいしいとんかつ店を作ろう。そう思い立った彼は、何年もかけ、全国100軒以上のとんかつ屋を食べ歩いた。

東京の有名店もほぼ行き尽くした。

そして理想のとんかつ屋を目指すべく、自らのパティスリーの隣にとんかつ屋を作った。

店名を「紅豚ぽるころっそ」という。

高知の空を豚が飛んで行って、おいしさを広めて欲しいという思いでつけたのだろうか。あのジブリの長編アニメにちなんでいる。

鍋前に立ち、揚げるのは、笹垣さん自身である。

豚は四万十町  窪川ポークを使う。

注文を受けてから手切りをし、一部筋を切り、衣をつける。

そして130度から徐々に温度を上げて、揚げていく。

揚げて少し休ませてから切る。

真剣な眼差しで仕事をする笹垣さんの一挙手一投足に、とんかつへの愛が満ちている。

切った断面を上にして置かれたとんかつが美しい。

うっすらとピンクに染め、肉汁に濡れている。

分厚く切られたとんかつを、箸で持って口に近づけると、甘い香りがふわりと漂った。

揚げ油に使っているラードの香りである。

ラードに背脂を足して使っているのだという。

やはりとんかつは、ラードで揚げてこそ肉も生きる。

食欲も一層掻き立てられる。

嬉しくなって噛めば、肉は実にきめ細やかで、肉自体の旨味にあふれている。

背脂もすうっと溶けて、甘い香りを残しながら消えていく。

柔らかだが、柔らかすぎることなく、噛む喜びがあるとんかつである。

肉汁に富んだ肉の中心部位も、右端の脂が多く濃い味のする部位も、存分に堪能できる。

肉にピタリと密着する衣は中粗で、サクサクと脂切れがいい。

聞けば、都内有名店がこぞって使う中屋パン粉工場製だという。

この軽やかな衣とたくましい肉との対比が、なんともいいのだな。

とんかつだけでなく、脇役陣も素晴らしい。

ご飯は甘く香り、キャベツは細くみずみずしく、お新香は自家製ぬか漬け、ソースはくどさがなくまろやかである。

しかも安い。

東京との比較しては公平ではないかもしれないが、銘柄豚を使い、200gの定食で1600円は、かなりのお値打ちである。

聞けば、高知の人もたくさん訪れて、とても喜んでいただいているという。

とんかつ以外にも、一度煮たバラ肉を揚げた「バラカツ」や笹垣さん自ら仕込んだカレーと合わせた「カツカレー」、「肩ロースカツ」、「ソースカツ丼」など、とんかつ好きならなんとしても食べてみたい料理もある。

とんかつ後進県にもかかわらず、都内有名店と肩を並べるとんかつ屋が高知にあるのだ。

高知県高知市高そね20−34「紅豚ぽるころっそ」にて

 

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