高知家の◯◯
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「土佐の食文化を継承する料理店「土佐料理 司」が出した大衆居酒屋で飲んでみたの巻」食べ歩きスト・マッキー牧元の高知満腹日記 その93

この情報は2020年3月29日時点の情報となります。

アンジャッシュ渡部さんの「食べ歩き道の師匠」のマッキー牧元さん。立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす食べ歩きストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は高知市の人気ナンバーワンスポット「ひろめ市場」に出店する「司食堂」を訪ねた。

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呑兵衛天国「ひろめ市場」に、新たに嬉しい店舗ができた。

土佐料理で絶大な信頼と人気を誇る「土佐料理 司」のセカンドライン「司食堂」である。

早速出かけてきた。

まず最初は何を飲もうか。

ここは土佐らしく、直七サワーといってみよう。

直七は、高知県の西部、宿毛(すくも)の特産品で、ゆずやすだちなどと同じ香酸柑橘類である。

酸味が柔らかで、地元では「酢みかん」と呼ばれて愛用されている。

昔、魚屋の直七さんが魚にかけたら美味しいよと広めたところから、この名で呼ばれるようになったという。

「司食堂」では、生搾りで出してくれ、さらに直七をカットして入れているのは、高知・東京・大阪に店舗を展開している「司」グループの中で、この店だけだという。

実に爽やかな後口が印象的である。

これを片手に魚料理を食べれば、さっぱりとした気分となって、いくらでも魚料理が食べられる。

まずは定番「鰹塩たたき」といってみよう。

おお。身質が滑らかで、噛み込んでいくと血潮の味が広がってコーフンする。

いいカツオである。

続いて、「焼さば寿司」といった。

鯖寿司といっても、あのみなさんが思う鯖寿司を焼いたのとはまったく違う。

鯖は炙りたてであり、それに合わせて酢飯があったかいのである。

その勇壮な味わいは、鯖寿司からすれば、大海に出て日焼けした筋肉隆々の親戚といったところだろうか。

お次は、「鯨ミノ葉ニンニクぬた」である。

鯨のミノだから胃袋か。 

ふんわりとした食感で、甘辛く、青い香りとほんのりにんにく香がするぬた味噌が、味の気合を入れて、酒が進んで困る。

次はメニューに面白いものを見つけた。たこ焼き天である。

たこ焼きの天ぷらか?と思って頼んだら、たこ焼きではない。

練り物である。

タコを入れたボール状のさつま揚げである。

「あり」。一口食べて呟いた。

ちょいと庶民的な下品さがあって、クセになる。

こういう他の県では出会えない料理を、片っ端から頼むのは楽しい。

それは次の「鰹コロッケ」もそうだろう。

細かくしたカツオが入れられたコロッケだが、鰹の主張は優しい。

もし言われなかったら、わからない程度である。

さらに「鰹はらんぼ(カツオのお腹の部位で、1匹から1枚、3キロのカツオから40gしか取れない希少部位)」はどうだろう。

普通は焼いて出されることが多いが、こちらは揚げてある。

その熱々に、特製のポン酢をかけて食べれば、むちっとした肉質とカリリと香ばしくなった衣との対比がいい。

次に「刺身かまぼこ」を食べれば、甘みに品があり、うっすらと魚の味が滲んでいる。

創業明治11年になる「永野かまぼこ店」のかまぼこで、実は後継者がいなくて廃業寸前だったところを「司」が救ったのだという。

「司」は土佐料理を伝えていくだけの会社ではない。

こうして土佐をめぐる、あらゆる食文化を継承していこうとする会社なのだ。

そんな思いを感じながら飲む酒は、うまい。

高知県高知市帯屋町2丁目「司食堂」にて