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「高知で一番のうなぎに惚れ込んだの巻」食べ歩きスト、マッキー牧元の高知満腹日記 その99

この情報は2020年5月10日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす食べ歩きストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は高知市梅ノ辻に店をかまえる「鰻屋 成八」を訪ねた。

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鼈甲色に輝くうなぎが、運ばれた。

思わず喉がなる。

焼き方にムラも、焦げもない。

食べれば、脂のしつこさがなく、香りに乱暴がなく、川魚特有の身の柔らかさと淡い旨味を噛み締め、しみじみ「うまいなあ」と呟く。

妙な筋もなく、ふんわりと崩れると、甘い脂の香りが立ち上がって、顔をだらしなくさせる。

高知は、かつてうなぎの養殖が盛んだったこともあって、鰻屋が多い。

何軒も出かけたが、おそらく高知で一番ではなかろうか。

ご飯は正しく固く、柔らかなうなぎを盛り上げ、一気呵成に行ける鰻重である。

ご飯へのタレのかかり具合も、ちょうどよく、お新香はうなぎの味を一旦切るのに適した奈良漬で、肝吸いは淡く品がいい。

山椒は置いてない。

代わりにわさびを醤油漬けしたものがある。

聞けば、ご主人は、小さい頃から山椒使って食べてない

臭みがないうなぎなので、臭みを消す必要がなく、わさびを使う。

鰻重の前に白焼きをいただいたが、これも表面がカリッと均一に焼かれて、味はふんわりとした、上等な白焼きである。

わさび醤油につけて、燗酒とやったら、もうたまらない。

すべてが、鰻重とはこうあるべきだということを知悉(ちしつ)した仕事である。

ご主人に聞けば、「美味しそうな焼き目は入れますが、焼きが入っていたら、焼き目はいらないとおもいます」。

そう静かに話された。

タレのかかり具合も程よい

元々親戚が、養鰻場をやられていたという。

お父様もそんな関係で、うなぎの卸しをやられ、焼き加工もやられていた。

だが、お父様は鰻屋 をやりたかったのだという。

仕事を手伝いながら、ご主人は自分の代になって父親の夢を実現させたのである。

愛を元手に始められた仕事には、誠実がある。

それを感じさせるうなぎだった。

 

高知県高知市梅ノ辻「鰻屋 成八」にて