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「これぞご馳走!山深き茶農家レストランでいただく地元食材あすなろ御膳と茶の香うどん」美食おじさんマッキー牧元の高知満腹日記

この情報は2021年1月17日時点の情報となります。

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす美食家・食べ歩きストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。今回は高知の清流・仁淀川の上流で茶農家を営むご夫婦が営むレストランをご紹介します。

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高知のいいところは、海沿いからでも車を30分も走らせれば、山中に入るところである。

海と山という自然の原点に、身を置く心地よさを味わえるところなのだ。

今朝も山中に入り、山道を走ること1時間20分ほど、山深い吾川郡仁淀川町沢渡(さわたり)地区にやってきた。

清流が走り、山々が迫る。

果たしてこんなところにレストランはあるのだろうか。

するとその店は、街道沿いにポツネンと佇んでいた。

「茶農家の店あすなろ」と書いてある。

陽光がたっぷりと差し込んだ店内が心地よい。

その先のテラス席に陣取ることにした。

流れゆく川の音が遠く聞こえ、鳥のさえずりが響く。

そしてなにより、空気が澄んで清々しい。

こんなところでいただく食事こそ、「ご馳走」と呼ぶのに相応しいのではないか。

都会で生活する我々にとっての、かけがえのないご馳走である。

さっそく、地元の食材を使った料理をもりあわせた「あすなろ御膳」と地元のお茶を練りこんだうどんによる「沢渡うどん御膳」を注文した。

まず出されたのは沢渡茶である。

丸く甘い、気持ちがほっこりとなる茶の味に和む。

ここ沢渡は、代々茶畑が多く、沢渡茶という茶を作ってきたという。

店主の岸本実佳さんは、ご主人がこの地区の出身で、都会で働かれていたが、過疎化が進む沢渡地区を活性化したいと思いで移り住み、「ビバ沢渡」というプロジェクトを作り活動なさっている。

その拠点がこの店である。

お茶は、和紅茶で、発酵させているのだという。

発酵茶ならではの渋い旨味がいい。

さあ「あすなろ御膳」がやってきた。

おばあちゃんの炊き込みご飯のおむすびは、醤油炊き込みご飯に茶茎が混ぜ込んである。

それに茶塩と茶の佃煮が添えられる。

茶農家のおむすびは生茶漬けフレークがまぶされている。

おかずは、実にバラエティーに富んで、彩りもいい。

茶塩をつけて食べる、鶏の唐揚げ柔らかく、白あえ椎茸や人参は優しい味わいがする。

チャーテは「白瓜」のことで、「すまき」という高知の練り物と酢の物にされている。

田舎こんにゃくのきんぴらやカボチャサラダナッツ仕上げ、茶団子汁、素揚げして特製ポン酢で食べる椎茸たたきもいい。

そしてデザートは、沢渡茶羊羹である。

一方、「沢渡うどん御膳」は、ほんのりと茶の香りが漂ううどんで、茶塩胡麻、刻み海苔、とろろ昆布、お揚げをトッピングしながら食べるのが楽しい。

ここ沢渡地区はかつて、きれいな川の近くに茶畑が連なっていたという。

しかし、高齢化によって茶農家廃業による放棄茶園が増え、20数軒あったのが3軒になってしまった。

その現状をなんとかしたいと思って移住してきたのが、岸本夫妻である。

ご主人の祖父母が茶農家をやられていて、13年前に移り住んだという。

「この景色を守りたい」。

「沢渡茶」ブランド名をあげたい。

その一心でやられてきた。

この次は是非4~5月に来て、美しい茶畑を見たいと思った。。

岸本さんたちは、飲食店だけでなく、生茶の佃煮といった、様々な茶の商品も開発されてきた。

おそらく、相当苦労もされてきたであろう。

しかし、その話をされる岸本さんは、苦労の影など微塵も見せず、明日への希望に満ちた笑顔が輝いているのだった。

 

高知県吾川郡仁淀川町鷲ノ巣「茶農家の店 あすなろ」にて