高知・須崎から世界へ!高校生たちの挑戦「空飛ぶカンパチ」プロジェクト

高知県須崎市の活性化に奮闘する、高知県立須崎高校の学生たちが手掛ける「空飛ぶカンパチ」プロジェクト。
プロジェクトはどのようにして生まれたのか、そしてどんな変化を高校生たちにもたらしたのか。

「須崎の町を元気にしたい」という想いから、町歩きガイドやカフェの運営など地域と連携し、新しい挑戦をし続けてきた高知県立須崎高校・商業系列の高校生たち。

先輩たちの伝統を受け継ぎ、活動に取り組む彼女たち「かわうそガールズ」が“須崎だからこそ・高校生だからこそ出来ること”を考え、誕生したプランが「空飛ぶカンパチ」プロジェクトだ。

 

地元の魚を全国に届けたい

元々のはじまりは、鮮魚の流通システム構築の取り組みから。
ブランド化されている須崎の魚を、鮮度そのままに全国に届ける流通システムを作るという壮大なプランを構想していた。

地域の人との話し合いを重ね、プランは少しずつ形になっていくが「そもそも魚がどのようにして流通しているのか」を知らなかった高校生たち。
地元漁師の協力で、実際の漁の現場に立ち会った。

午前4時。
空がオレンジ色に染まる美しい静かな夜明けとは裏腹に、大きな声が飛び交い緊張感が溢れる船上。

「新鮮」という言葉で片付けるのがもったいないような光景と飛び跳ねる魚の姿。
どれもが初めての経験。「須崎の魚を全国に届けたい」という想いはますます強くなった。

今までにない新しい流通システムの開発に向けて話し合いを重ねた末に生まれたのが「鮮魚宅配便」だ。
このシステムの特徴は会員制で、個人に合わせて細やかに対応をすること。

具体的には、専用のアプリで早朝の定置網漁や養殖の生け簀(いけす)から魚を上げる場面をライブ配信。
その配信を観た会員が欲しい魚や食べたい魚、大きさや肉付き等のリクエストを送信。
情報はすぐに船に送られ、対応した魚を用意し船上でパック詰めをして配送される。

支払いはキャッシュレス、輸送ネットワークをフル活用すれば東京都内の場合当日の15時半に届けることも可能で、わざわざ市場に出向くことなく、新鮮な魚が手に入る。

さらにこのプランの一番のメリットは、漁師が自分たちで売価を決めることができる点だ。
市場価格に流されることなく販売できるため収入が安定し、後継者不足で悩む漁師の課題解決の一助となりうる。

しかし、基本的に漁師が獲った魚は市場や漁協を通さねばならず、それを破ると二度と市場に魚を出せなくなるというルールが壁となって立ちはだかる。

諦めかけたときに手を差し伸べてくれたのは、須崎高校の卒業生で野見湾でカンパチの養殖をしている西山さんだった。

養殖魚は独自のルートで販売ができるというヒントを得て実現に一歩近づいたが、もうひとつの課題は販路だった。

解決するために向かったのは山口県。
すでに先行して鮮魚を直送している漁師集団・萩大島漁船団の取りまとめをしている坪内知佳さんのもとへ足を運んだ。

「覚悟はあるか」「やりきるつもりはあるのか」強い言葉に気持ちが引き締まった。

「絶対にやり切る」という強い決意のもと、ここからカンパチを全国へ、そして世界へ届けるための連携が始まったのだ。

その後、須崎のカンパチは本当に「空を飛び」、首都圏のみならず北海道、さらには海を渡りタイやベトナムにもすでに出荷され、今後は全世界に向けて出荷される予定だという。

 

先輩の意志を受け継ぎ、さらなる挑戦へ

当初のメンバーが卒業し、新たに夢を託された4代目の「かわうそガールズ」。

「須崎を元気にする」「高校生の自分たちがこの町で住み続ける」という先輩たちの思いを引き継ぎ、そのためにはまだまだやることがある、と奮起した彼女たち。

「空飛ぶカンパチ」を通じて確かにカンパチは世界に売れるようになったが、まだ需要が少ない中でより魅力的な素晴らしいプランにするためにはどうしたらいいのか。

そこで、購買層や目的、調理方法を調査・分析することによってさらなる売り上げを見込めるのではないかと考え、タイに視察へ。
現地で高知から到着したカンパチの料理を試食した。

須崎で味わうカンパチと遜色ない味だった。
「こんな素晴らしい魚は世界中探してもなかなか見つけられない。漁師の想いに感謝したい」とシェフも高評価。

地域の方々にも助けられ、確かな手ごたえを感じたが、「自分達の町の自慢のカンパチをたくさんの人に伝えたい。食べてもらいたい。」という想いは日に日に強くなる。
東京へPRに行きたかったが予算も場所もなかった。でも継続可能な活動にしていくためには、自分たちでやらなければならない…。

そう思っていた矢先、坪内さんから「クラウドファンディングに挑戦して夢を実現したら?」というアドバイスをもらい、「やります!」と即答しチャレンジすることに。

東京都内での「空飛ぶカンパチ」のPRのために挑戦したクラウドファンディング。
地元のイベントでのPRやお店・事業所の訪問など様々な方法で支援を募った。

「頑張ってね!」と応援をもらい、次々と支援を集める高校生たち。
また、須崎市のご当地キャラクターしんじょう君も一緒にPRしたことで、全国のしんじょう君ファンにも支援の輪が広がった。

結果は達成率133%、1,539,500円。
無事、東京でのPR費用を自分たちの力で集めることができた。

後日、開催されたカンパチのフルコースパーティーの参加者は約40名。
提供されたカンパチは2日前に生け簀から水揚げしたものだ。

刺身、焼き魚、あら汁の試食では「高知ではいつもこんな魚が食べられるの?」「こんなにおいしいカンパチなら毎日買ってもいい!全く臭みもないし、東京で買う魚とはまるで違う!」という嬉しい感想が会場内に溢れた。

 

若い力で須崎、そして高知を変えていく

地域と関わる活動を通じて経験を増やし、成長を続けていくかわうそガールズ。
「Power For Activating Local Community(地域社会を活性化させるための力)」を活動のテーマにした彼女たちの想いはふたつ。

・漁業や地域の産業が理解され、あこがれをもって従事する人が増え活性化すること。
・須崎市がもっと元気になり、たくさんの人たちが須崎市に定住しはじめ須崎の未来が変わること。

可能性に満ちた若い力は、須崎の町だけでなく高知全体を盛り上げていってくれるだろう。

文/上野 伊代

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