「食べるほどに、魔力にはまって抜け出せなくなる。高知の人しか知らない底なし沼ラーメンの秘密。」食べ歩きスト・マッキー牧元の高知満腹日記

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなすタベアルキストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。

箸が重い。

麺を持ち上げようとする、箸が重い。

四万十町窪川「満洲軒」のスペシャリテ、「満洲ジャン麺」である。

店頭には、「ホルモン・鉄板・焼肉」とあるように、焼肉屋であるが、皆が「満洲ジャン麺」をすすっている。

運ばれて来た。そのお姿からして、凛々しい。

茶色いどろりとしたアンには卵の黄色とニラの緑が交じり合い、唐辛子の赤が点在している。

他の具材も麺も見えないが、「さあ、俺が満洲ジャン麺だ。お前は食べることができるか?完食できるか?」と挑んでくる迫力がある。

アンに箸を差し入れ、ぐっと持ち上げると、麺が持ち上がって来た。

しかし粘りの強いアンが麺一本一本に絡んで、前腕に挑んでくる。

おや、ホルモン(腸類)が入っているではないか。

この料理は、当初賄いだったのだという。

焼肉屋らしい、賄いである。

ホルモンを加熱し、スープにニラと唐辛子、味噌と豆板醤を入れて卵とじにし、水溶き片栗粉でとろみをつける。

簡単にできながら、こちらの食欲を叱咤するような味のたくましさもある。

しかし何より「うまいっ」となり、やがて店でも出すようになって17年間スターの座を保っている。

麺をズルルといけば、スープの旨味、卵の甘み、ニラの香り、唐辛子の辛味、豆板醤の熟れた旨味が襲って来て、思わずニヤリとする。

そこへホルモンである。もう一度言う。そこへホルモンである。

時折クニュッとホルモンが弾んで、その甘い香りが舌に広がり、スープと混ざり合う。

ふふ。笑いが止まらない。

さらに地元の人たちは、麺がなくなったらそこにご飯を入れて食べるのだという。

さすがに多い、食べ過ぎかと思ったが、試さなくては帰れない。

ご飯とスープをよくよく混ぜたら、ズルッといってみる。

ああ、ご飯の甘みが黄身やホルモンの甘み、スープの旨味が渾然となって胃袋をワシヅカミする。

麺もいいがご飯投入もいい。

これは何としてもご飯を入れなくてはいけないのである。

食べ終わってしばらくすると、また無性に食べたくなってくる中毒性が加速するからである。

できれば、鮮度の高いセンマイ刺しに、タン、ハツ、レバー、つらみ(頬肉)、胃袋からなる盛り合わせを頼んで鉄板で焼き、豚足もかじってから、「満洲ジャン麺」に登場願うのがいい。

なぜなら、焼肉で上気した気分で食べる「満洲ジャン麺」は、さらにコーフン度が増すように思うからである。

 

高岡郡四万十町古市町「満洲軒」にて

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