食べ歩きスト マッキー牧元の高知満腹日記その49「あなたのカツ丼力が試される丼が、高知にあった。」

立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす食べ歩きストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。

カツ丼という食べ物は、「今日の昼は、カツ丼でも食べるか」というような軽い気持ちで食べてはいけない。

「よし今日の昼はカツ丼だあ」と、気合を入れてから食べなくてはいけない。

そういう料理なのである。

しかしここに、日本一気合を入れなくてはいけないカツ丼があった。

高知県の大豊町という、山中にある定食屋、「ひばり食堂」のそれである。

見ていただきたい。

カツが二枚のったそれは、通常の倍近くあるのではないだろうか。

聞けば総重量は600gだという。

「食べられるのだろうか?」

不安になったが、これがするすると胃袋に入っていく。

豚バラ肉を使ったカツは、脂身が甘く香り、大量に入った玉ねぎの優しい甘みが玉子の甘みと抱き合って、箸を持つ手が加速する。

さらに丼ツユの、ご飯の染み具合と衣への染み具合も、ほどがいい。

「こりゃあ大盛りでもいけるかも」と、思う次第である。

食べながら思う。

なぜロースやヒレでなくバラ肉なのか。

なぜカツを、二枚も乗せているのか。

そこでご主人に聞いて見た。

「バラ肉の脂が好きながよ。それと、時々炒飯で、ご飯が一部白く残っているやつがあるろう?あれと同じで、カツ丼で、白いご飯が見えるのが許せんかったがよ」。

親父さんの料理哲学は、揺るぎない。

かくして「ひばり食堂」のカツ丼は、バラ肉のカツを2枚乗せて、ご飯全面を覆うようになったのである。

当然量は多くなる。

そのため、食べる時には、カツを二切れどけてから、顔を出したご飯を掘削しなくてはならない。

しかし上には上がある。

大盛りは、倍の量があるという。

実質内容量1.2kgの大盛りは、並の800円に対し、1000円と大食いたちを喜ばす。

さらに上には上がある。

特注の「特大」である。

大盛りの6杯分、7.2kgという凄まじさで、1600円という価格がついている。

玉子を12〜15個使い、30センチのフライパンにぎっちりと入り、片手では持ち上がらないという。

そんな巨大なのだが、シェアするのは厳禁で、一人で完食しなけらならないルールがある。

ちなみに器だけ見せてもらった。

これは丼ではない、大皿である。

店名は、若い頃ヒット祈願でこの街をとずれた美空ひばりにちなんでつけられたというが、美空ひばりも草葉の陰で笑っているに違いない。

しかし最近のインスタ映え流行りで、食べられもしないのに頼む人が増えたという。

そのため、もし食べられなかったら、その日から二ヶ月間、特大の注文は廃止する。

そんな人もいれば、一人で完食する奴も数多くいる。

「この間は若い女性が残さず食べました」。

世にギャル曽根は多いらしい。

 

高知県長岡郡大豊町高須「ひばり食堂」にて

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