「焼肉屋の片隅で営む、地元の食材を愛す実力派イタリアン。」食べ歩きスト・マッキー牧元の高知満腹日記 その81

アンジャッシュ渡部さんの「食べ歩き道の師匠」、マッキー牧元さん。立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スィーツから居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ、テレビ出演を超多忙にこなす食べ歩きストのマッキー牧元さんが高知の食材・生産者さんをめぐって紹介する「高知満腹日記」。

「え?ここ焼肉屋じゃない。どこにイタリアンがあるの?」

高知県中部多の郷にあるイタリア料理店「レガーロ」の住所に着くと、一階は精肉店、二階は「焼肉たけうち」だった。

「とりあえず二階に上がってみましょう」。

半信半疑で二階に上がると、やはりそこは正真正銘焼肉店である。

間違えたか。ガセネタか?

一同一瞬焦ったが、なんと焼肉店の片隅に仕切りがあり、小さな店があるではないか。

店舗内に間借りという、非常にレアなケースである。

聞けば店主でありシェフである竹内紀人さんは、この焼肉店のオーナーの息子さんで、高知の「ヴィラ・サントリーニ」ほかで修行後、実家の焼肉屋を改造して今年の7月に店を始めたのだという。

Bランチは1800円。前菜、パスタ、魚か肉の主菜という流れである。

前菜は、「アンティパストミスト(前菜盛り合わせ)」で、冷菜が彩りよく並べられている。

中央には、「ブロッコリーのニンニクオイル炒め」

手前の赤い料理は、「レンコンのトマトソースとチリ」

時計回りで、「ナスのグリル、バジルソース」

「ズッキーニのホワイトソース」

「紫芋の蜂蜜とレモン風味」

「中に椎茸を詰めた四万十鷄のロートロ」

どれも丁寧な仕事が光っている。

力強い高知の野菜や鶏がよろこんでいる。

中でもロートロの、しっとりとした加減がいい。

ロートロとは“巻く”という意味で、薄切り肉などに具を詰めて巻き、調理した料理をいう。

四万十鶏は、適切な加熱でしっとりとし、優しい滋味が噛みしめるごとに滲む。

前菜がいいと気分が良くなる。食欲が刺激される。

続いてパスタは二種類を食べ比べてみた。

「菜園家風のパスタ」は、全部地元である須崎の野菜を使ったスパゲッティである、

アスパラガス、サヤインゲン、インゲン、玉ねぎ、人参、キャベツ、セロリをクリームとパルミジャーノであえた料理で、食べると優しい気分になる。

もう一皿は、「須崎のカツオの燻製とフルーツトマトパスタ」。

カツオの燻製を角切りにし、フルーツトマトのソースと合わせたパスタである。

カツオは火を通すと、素っ気ない感じになるが、フルーツトマトの甘みと旨みが穏やかに抱き合い、カツオを優美に感じさせている。

それでいて、トマトの主張をギリギリに抑えて、カツオの風味を生かしている。

そのあたりのバランスが素晴らしい。

この地で育ち、住んでいる人にしか思いつかない料理だろう。

魚料理は、「石鯛のソテー 甲殻類のソース」。

たべればなんとも石鯛に力がある。

力がみなぎっている勢いがあり、味がたくましい。

聞けば須崎にあがった石鯛を、三日寝かせて、味を凝縮させたのだという。

甲殻類の旨味に溢れたソースをまといながら、石鯛が自分の力を鼓舞している。

そんな妄想が浮かぶのも、高知で獲れる魚介類の地力があってこそだろう。

さあ肉料理は、「四万十ポークのカツレツ」ときた。

チーズを混ぜたパン粉で揚げた薄カツレツで、サラダの下に隠れている。

噛めば衣がカリリと音を立てて香ばしく、肉は薄くとも噛む喜びがある。

ドルチェは、「シークワサーのジェラートと佐川の栗のモンブラン」で、このモンブランの甘みが優しく、穏やかな気分にさせられる。

こうして地元の食材を見つけ、奔放に駆使した料理は楽しい。

何より、シェフの地元への敬意が心に響く。

それこそが、この店が与えてくれるもの、レガーロ(イタリア語で贈り物 プレゼント、ギフト お土産)なのだろう。

またひとつローカル・ガストロノミーの名店を見つけた。

高知県須崎市緑町「イタリア料理  レガーロ」にて

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